先日、初めてプロ野球選手にノックをさせていただく機会に恵まれた。
プロの立ち居振る舞いはやはりプロと言える次元のモノであり、一挙手一投足に芸術性を感じた。
ノックをしながら心の中で興奮し、感嘆した。
私は常日頃からノックを打つ際に気を付けていることがある。
それは「ボールの回転」だ。
試合で打者が打ち損じたゴロ(グランドボール)にはほぼトップスピンがかかっている。
ノックではボールの上を撫でるように打てばトップスピンがかかり、ほぼ試合と同じような打球をノックで受けることが可能になる。
逆にボールの下をこするように打てばバックスピンがかかってしまうため、試合で実際に来る打球とは異なってしまう。
トップスピンは手元でボールが加速するが、バックスピンはボールが失速するため、バックスピンのボールばかりを練習で受けているとトップスピンのボールに差し込まれることになる。
また、トップスピンをかけながら低いバウンドの打球を打つことがなかなか難しい。
私は姿勢を低くし、手首を返して打つようにしている。
いつも試合を意識し、試合同様の打球を受けることができるようにすることが大切だと思う。
さて、普段は小中学生を相手にノックをするため、そこまで力を入れる必要はないが、この日に限ってはバックスピンの回転数と打球速度を上げるためにギアを入れ替えた。
彼はこの日の課題をバックハンドに置いていた。
ショートの位置で三遊間の打球を80球ほど受け続けていた。
何回か落とすことがあったのだが、その度に次はどのように動こうかとグローブの動きや足の動きを細かく確認しながら受けていた。
「ラスト」と声があがってから10球以上打った。
納得がいくまで受け続ける姿にまた感嘆した。
また、彼が使用するバット選びに同行させていただいたことがあった。
長さや重さ、グリップの太さや芯の位置、カラー・デザインに至るまで100本以上ある中から自分にしっくりくるバットを選んでいた。
時間をかけて何度も触りながら、スイングもしながら3本を選んで今後使ってみると言って購入していた。
チームから提供されるバットが当然あるにはあるが、自分の目で見て、肌で感じて、勝負の場に同行する戦友を選ぶ姿を見ながら、プロという世界に住む人間の立ち居振る舞いを学ぶことができた。
人は直接見て学ぶことが大きいことを実感した。
人生のロールモデルになる人の立ち居振る舞いを見れば「ああ、このようにすればいいのだ」と肌で感じることができるからだ。
野球のみならず、人生の目標となる存在を定めたならば、たくさん見て、学んで、その生き様に挑戦していくこと。
「霊肉新しく」と先生がおっしゃってくださったが、そんな挑戦をこの年末から始めて、来年一年を素晴らしく過ごしたいと思う。