「達人」
様々な分野でそのように呼ばれる人がいます。
ドキュメンタリー番組などで「達人」と呼ばれる人の特集を観ると、その壮絶な達人への道の歩みに感動を覚え、時には涙が出るくらいです。
しかし大切なことは、それを観て感動して終わるのではなく、「達人」になるための秘訣は何なのか、自分も「達人」になるためにはどうすればいいのかについて、「達人」と呼ばれるようになるまでの道(過程)をみて学ぶことです。
さて、スポーツ心理学の世界では、『運動技能学習の3段階モデル』によって運動学習の過程を説明しています。(ここではその是非については問いません。)
このモデルをもとにして、「達人」への道(過程)を、ゴルフの例でみてみます。
○運動技能学習の3段階モデル
①認知段階
基本的なルールを知る、クラブの握り方を知る、構やショットの打ち方を覚えるなど、基本的な知識や動作を習得する段階。
この段階ではルールの勘違いや空振りなどの粗大な誤りが起こる。②連合段階
基本的な動作の習得が進み、粗大な誤りが減少する段階。
めったに空振りなどしなくなるが、コースなどの状況・環境によって飛距離やスコアが安定しない。③自動段階
動作自体に注意を向けることなく十分に安定した動きができる段階。
コースの形や地形、気象条件、相手とのスコアの差を考慮したショットの選択などが可能になる。
この③の自動段階は「達人」の特徴と言えます。
ゴルフを例にしましたが、周りの人々見てみると「達人」と呼べる(自動段階に達している)行動をしている人たちがたくさんいます。
例えば、食事の場面。
人々は箸を使って食事をこぼすことなく口に運ぶことがでます。(たまにこぼすかもしれませんが。)
すなわち、箸使いの「達人」です!
その過程を簡単にみてみます。
①箸の使い方は頭で分かるけれどもなかなかうまく掴めない。こぼす。
②こぼすことはなくなったけれども、豆などの小さいものやラーメンなどの滑りやすいものはこぼしてしまうことがある。
③豆でもラーメンでも何でもこぼさない。箸以外の2本の棒があれば箸替わりに使える!
ここまで「達人」への道(過程)をみてきましたが、「達人」と呼ばれる人も、全くできなかったところから始まり、試行錯誤の過程を経てきたことをよくよく覚えておかなければなりません。
そうしてこそ、自分も「達人」になれる希望が見えます!
それでは、「達人」になる過程をどのようにすれば乗り越えていけるのかについて考えてみましょう。
試行錯誤の過程は辛く、できなければ逃げ出したくなりますが、そのような時にはどうするのがよいでしょうか?
答えはシンプル、「繰り返し努力」です!
繰り返し努力することで、何も意識せず、自動で、楽に行なうことができるようになり、人々から「達人」と呼ばれるようになるのです!
みんな繰り返し努力して達人になって行なえば、
車に荷物を載せて走るように楽で、
そうでなければ、
荷物をリヤカーに載せて遠い道を引っ張って行くように大変だ。
「達人」への過程は荷物をリヤカーに載せて遠い道を引っ張って行くように大変です。
しかし、繰り返し努力することによって、「達人」になり、その時から車に荷物を載せて走るように楽に行なうことができるようになります。
ここで人々の中にあって「達人」になる過程で大きな弊害となるものがあります。
それは、“ただ”で得ようとする心です。
人は何か“ただ”で拾ったり、得たりしたら本当に嬉しいです。
しかし実際“ただ”はほとんどありません。
みんな過ぎた日に自分がどれだけ“ただ”で得たか考えてみてください。
ほとんどないでしょう?
“ただ”ばかり望んで生きたら、「得るもの」がありません。
(鄭明析牧師による主日の御言葉より)
“ただ”で得ようと待ち望んでいるならば、いつになっても「達人」になることはできません。
そのような心は“ただ”ちに捨てなければなりません。
達人への道。
達人の姿を見てうらやましく思うのか、あるいは自分が達人になって楽に行なうのか。
それは“ただ”で得ようとばかりするのか、あるいは繰り返し努力しようとするのか、あなたの心次第です。
参考:摂理のコミュニティサイト・マンデー(主日の御言葉)(一行メンター)、『スポーツ心理学事典(2008)』