【2021年全国大会3日目】インプレー中の出来事をどう裁くか

この日の試合ではヒヤッとする出来事があった。
走者2塁の場面。
試合を完全に決めるダメ押しの得点シーンだった。
打者が完全に捉えた強烈な打球が投手の足に直撃したのだ。
投手はその場に倒れ込んだ。
その時打球は1塁ベンチの前まで転がっていた。
2塁走者は3塁ベースを回ってホームへ向かう。
そこで主審はなんと「タイム」をコールした。
本来ならばダメ押しの得点が入るところだったが1、3塁となったのだった。

サッカーではフィールドで選手が倒れた場合、わざとボールを外へ蹴り出しプレーを中断させることができる。
そして倒れた選手への対応が終わった後、プレーが再開されれば、相手はボールを返してくれる。
もちろん審判が笛を吹かなければ、プレーは続行されるのだが、たいていの場合、誰か倒れていたらプレーをわざと中断させる。
サッカーにおいてはこのような暗黙のルールと言うべきか、素敵な文化がある。
紳士的な対応だと思う。

野球においてはそのようなプレーは存在しない。
打球が当たって倒れたとしても、プレーは続行される。
しかし、今日の試合においては、審判がプレーを止めた。
この判定に対して怒りをあらわにした人もいたが、私個人としては、心の中で拍手喝采した。
得点できなかった悔しさなど微塵もなかった。

先生は相手を恋人と思ってプレーすることを教えてくださった。
ルールにはないが、大切な相手チームの選手が倒れた場合、プレーを中断させるという対応をとるのが良いのではないかと思う。
得点の有無や勝敗という次元の話ではなく、大切な相手チームの選手を想う行動が増えることを願う。

結果的にチームは勝利を収めた。
2年ぶりの決勝進出を決めることができた。

今大会、一つひとつの出来事を通じて大切な気づきを得ることができている。
結果がついてきていることも喜ばしいことだが、それ以上にそれらの気づきが自分の糧になっていることが非常に大きいと感じている。

明日は休養日。
明後日の決戦に向けてしっかりと備えたい。

【2021年全国大会2日目】試合前に大事故

大がつくほどの事故が試合前に起きた。

その事故はキャッチボール中に起きた。

ある選手の頭部にボールが直撃したのだった。

帽子のつばにかけていたサングラスにボールが当たり、サングラスのレンズが外れ、額に突き刺さった。

額からは大量の血が流れた。

すぐに圧迫止血し、病院に直行。

6針を縫う始末になった。

大きく逸れたボールを捕球しに行ったところ、隣のキャッチボールのボールが当たったのだった。

普段からキャッチボールをする際には十分に横の選手との間隔を開けるように教育をしており、今回のキャッチボールの前にも、そして、キャッチボール最中にも教育した…

しかし、事故は起こった…

横の選手とは同時に投げてはいけないこともも何度も教育した…

それでも事故は起こった…

 

「自ら気をつけなさい。」

この御言葉が脳に骨に刻み込まれていなければ、少しでも気を緩めたその瞬間に事故は起こる。

神様の御言葉は命の御言葉だ。

不幸中の幸いという言葉は使いたくないが、しかし、本当に不幸中の幸い、命を落とすことはなかった。

 

ひとりの選手を病院に送った状態で試合に入った。

試合中、私は切実に祈った。

試合のことよりも怪我をした選手のために。

早く治るようにと祈った。

彼が無事に戻ってきて、彼と共に試合ができることが一番の喜びだから。

 

怪我をした彼の穴は皆が埋めた!

試合においては勝利することができた!

 

試合後、ホテルでケガをした選手の姿を見て皆が安堵した。

 

不測の事態はいつ何どき起こるかわからない。

それが重要な試合前ということもあり得る。

 

私自身も中学の時、試合前にケガをしたことがあった。

公式戦で先発を任され、試合前の投球練習のためにブルペンへ向かう途中だった。

雑草で側溝に気付かず、足を踏み外して挫いてしまった。

試合前にテーピングをガチガチに巻いて臨んだが、4回途中で降板。

次の日から3週間ほど治療とリハビリに励んだ。

 

何度も何度も戒めなければならなう。

耳にタコが出来ても教育しなければならない。

「自ら気をつけなさい。」と。

【2021年全国大会1日目】ストレスによるものか…

ある選手が嘔吐した。
コロナ下、敏感な時期であるがゆえに心配したが、軽い腸炎だった。
病院に行って点滴をうち、お粥を食べ、試合を除き、最大限別行動で体調を整え、回復に成功した。
なんと、その選手のいとこが遠征先に住んでいたという奇跡。

神様は事毎に助けてくださるとおっしゃったが、人を通して助けてくださる神様の御働きに感謝感激した。

幼い選手たちに対し、全国大会という大舞台で平常心で戦いなさいと要求することは酷だ。
親元を離れ、普段とは全く違う環境の中で試合をこなしていかなければならないためどれほどストレスがかかるだろうか…

このようなストレス下の中でもプレーすることを通して精神的に何倍も何十倍も大きく成長することができる。
一回戦は、下馬評では五分五分と言われていたようだが、コールドで勝利することできた。
100持っている力を100出せるようにしてあげられるように工夫を凝らすのが我々指導者の役割だと思っている。
私はいつも選手の肩の荷物がおりるように声かけをしている。
特に孤独を感じる投手に対しては「マウンドに行ってキャッチボールをすると思えば良い」と声かけをしている。

ストレスに強い選手は、数々のストレスを経験し、そのストレスと対峙し合ってきた選手。
全国大会という大舞台は強度の高いストレスだと思うが、そのストレスの中で選手たちが強くなることを願うばかりだ。

今大会、どこまで勝ち上がることができるのだろうか、乞うご期待。

2021/10/07 10時49分 ホテル内で