大がつくほどの事故が試合前に起きた。
その事故はキャッチボール中に起きた。
ある選手の頭部にボールが直撃したのだった。
帽子のつばにかけていたサングラスにボールが当たり、サングラスのレンズが外れ、額に突き刺さった。
額からは大量の血が流れた。
すぐに圧迫止血し、病院に直行。
6針を縫う始末になった。
大きく逸れたボールを捕球しに行ったところ、隣のキャッチボールのボールが当たったのだった。
普段からキャッチボールをする際には十分に横の選手との間隔を開けるように教育をしており、今回のキャッチボールの前にも、そして、キャッチボール最中にも教育した…
しかし、事故は起こった…
横の選手とは同時に投げてはいけないこともも何度も教育した…
それでも事故は起こった…
「自ら気をつけなさい。」
この御言葉が脳に骨に刻み込まれていなければ、少しでも気を緩めたその瞬間に事故は起こる。
神様の御言葉は命の御言葉だ。
不幸中の幸いという言葉は使いたくないが、しかし、本当に不幸中の幸い、命を落とすことはなかった。
ひとりの選手を病院に送った状態で試合に入った。
試合中、私は切実に祈った。
試合のことよりも怪我をした選手のために。
早く治るようにと祈った。
彼が無事に戻ってきて、彼と共に試合ができることが一番の喜びだから。
怪我をした彼の穴は皆が埋めた!
試合においては勝利することができた!
試合後、ホテルでケガをした選手の姿を見て皆が安堵した。
不測の事態はいつ何どき起こるかわからない。
それが重要な試合前ということもあり得る。
私自身も中学の時、試合前にケガをしたことがあった。
公式戦で先発を任され、試合前の投球練習のためにブルペンへ向かう途中だった。
雑草で側溝に気付かず、足を踏み外して挫いてしまった。
試合前にテーピングをガチガチに巻いて臨んだが、4回途中で降板。
次の日から3週間ほど治療とリハビリに励んだ。
何度も何度も戒めなければならなう。
耳にタコが出来ても教育しなければならない。
「自ら気をつけなさい。」と。